ブロークバックマウンテン

ブロークバック・マウンテンは同性愛カウボーイがテーマの人気映画。羊の放牧のために季節労働者として雇われた２人の男性が苛酷な労働の中で愛し合うようになり、いったんはそれぞれの土地に帰って結婚するものの、その後20年にわたり同性愛関係を続けるというストーリーだ。

ブロークバック･マウンテンは公開前から高い評価を受けており、ベネチア映画祭では最高賞の金獅子賞を獲得。アカデミー賞では最多８部門にノミネートされている。そのため、ブロークバック･マウンテンの舞台となったアメリカ・ワイオミング州の観光局には、ブロークバック･マウンテンのロケ地に関する問い合わせが殺到しているそうだ。

しかし、実際にブロークバック･マウンテンが撮影されたのはワイオミング州ではなく、アメリカ国内ですらない。ブロークバック･マウンテンのロケ地となったのは、ワイオミング州から遥か遠く離れたカナダ・アルバータ州のカナディアン･ロッキーだ。ブロークバック･マウンテンを撮影したアン･リー監督は、当初はワイオミング州のビッグホーン･マウンテンをロケ地に想定していたのだが、撮影コストの問題からカナディアン･ロッキーに変更したのだという。

おもしろいことに、ワイオミング州の住人ですらロケ地がカナディアン･ロッキーであることに気付いておらず、ブロークバック･マウンテンのロケ地はワイオミングだと信じているらしい。ワイオミング州観光局もあまり気にしていない様子。逆にワイオミング州観光局のウェブサイトでは、ブロークバック･マウンテンの映画のサイトにリンクを張って、ワイオミング州の牧場見学ツアーを紹介したりしている。なかなか商売上手だ。

一方のカナダ・アルバータ州観光局では、ブロークバック･マウンテンのロケ地となったカナディアン･ロッキーの売り込みに必死。ブロークバック･マウンテンを観た人は当然ワイオミング州で撮影されたと思い込んでいるので、カナディアン･ロッキーがブロークバック･マウンテンのロケ地であることにまるで気付いていないからだ。もしブロークバック･マウンテンのロケ地を巡りたいなら、カルガリーからバンフ方面にレンタカーを走らせてみよう。詳細はアルバータ州観光局のサイトでどうぞ。

余談だが、ブロークバック･マウンテンは同性愛がテーマの映画なので、ブロークバック･マウンテンの舞台となったワイオミング州の牧場主やカウボーイたちは映画の内容に憤慨しているらしい。アメリカは開放的で同性愛に理解がありそうなイメージだが、それは一部の大都市での話であって、地方に行けばまだまだ保守的なアメリカ人も少なくない。ブロークバック･マウンテンのように、映画が大ヒットすればなんでもありというわけにもいかないのが現実のようだ。

ワイオミング州政府観光局｜アルバータ州政府観光局｜ブロークバック･マウンテン

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